IVEの初ワールドツアーの日本公演『IVE THE 1ST WORLD TOUR ‘SHOW WHAT I HAVE’ IN JAPAN』が9月4日、5日に東京ドームで開催された。
ウォニョンの声で機内アナウンスのようにツアータイトルが告げられ、さらに「DIVE , ARE YOU READY?」と問われると、東京ドームをぎっしり埋めたDIVE(ファンの名称)は早くも大盛り上がり。ツアータイトル「SHOW WHAT I HAVE」がスクリーンに映し出され、続いてメンバーたちのシルエットが見えると、場内にはさらに大歓声が響き渡る。真っ白な衣装の6人がバックバンドの生演奏をバックに静かに花道を歩き、「I AM」でコンサートはスタート。王冠をかぶる振り付けが印象的な「ROYAL」はフェスでも見せたロックバージョンで、続く「Blue Blood」は生バンドの迫りくるドラムンベースとリフレインされるサビが圧倒的なグルーヴを生み出した。昨年から11か月に渡ってワールドツアーを経験し、今年は「Lollapalooza Chicago」や「SUMMER SONIC」など音楽フェスへの参加も目立ったIVE。それだけの経験を積んできただけの実力と自信がコンサート序盤からはっきりと伝わってきた。
WONYOUNG
自己紹介ではイソが日本での愛称にちなんで自身を「イソ丸」、ガウルは「あきちゃん」(ガウルは韓国語で秋の意味)と名乗り、日本出身のレイが「DIVE、ただいま!」と挨拶すると、会場からは大きな「おかえり!」の声が返ってきた。
LEESEO
GAEUL
「私が一番好きな曲です」というウォニョンの紹介で始まった「Blue Heart」は会場が青く染まる中、メインステージから花道、センターステージからさらにその先まで、会場のDIVEの近くで歌声を響かせた。実はこの曲はウォニョンが歌詞を書いた曲で、「つらい時に(この曲を)聴いたDIVEのみなさんの力になりたかった」と歌詞に込めた想いを明かした。
たっぷりのシフォンとレッド&クリアのビジューをあしらったベビーピンクのミニドレスに着替えて歌われた「Shine With Me」もウォニョンが作詞した楽曲。この曲ではヘッドセットからハンドマイクに持ち替え、ユジンが声量豊かなハイトーンを響かせ、歌を聴かせるステージに。この日の公演の中でもひときわ感動的な1曲となった。曲が終わってリズが感動のあまり泣きそうになると、そんなリズにイソが抱きつき、なぐさめる一幕も。ガウルが「私もリズちゃんみたいに涙がこみ上げてきて、こらえるのが大変でした」としみじみ。レイに「だってあきちゃん、今目がキラキラしてるもん」とツッコまれ、「全部DIVEのせいだ!」と言い返していた。
YUJIN
LIZ
REI
続いて披露された「SUPERNOVA LOVE」は今回の東京ドーム公演が初披露。デヴィット・ゲッタによる未発表曲で、曲がはじまる前にレイが「東京ドームで披露できたらいいんじゃないかと思って、今回特別に用意しました。みなさんも、聴いたらその理由がわかると思います」と語ったとおり、坂本龍一の名曲「戦場のメリークリスマス」がサンプリングされたもの。特徴的なメロディは聴けばすぐにそれとわかり、会場はどよめきつつも興奮を隠せなかった。
ユニットステージではガウルがアリアナ・グランデの「7 rings」で会場を盛り上げると、レイはセーラー服を着て「小さい頃から好きだった」というOriginal Loveの「接吻」をカバー。最後には2人でスパイス・ガールズの「Wannabe」をパフォーマンスして、ダンサーたちも含めて全員でステージの上でセルフィーをパシャリ。リズ&ウォニョンは「塔の上のラプンツェル」の劇中で歌われているマンディ・ムーアの「When Will My Life Begin?」をデュエット。ラベンダーカラーのミニドレスをまとい、花のかごをもって、花びらを撒きながら歌う2人はまるでプリンセスのよう。最後にはステージの中央に置かれたパールブルーのピアノをリズが弾き、2人で美しいハーモニーを響かせた。ユジン&イソはブラックのレザーをベースにしたファッションで登場し、そんな空気を一変。ユジンはレザーのタンクトップにレザーのパンツ、イソは黒いキャミソールにミニスカートという出で立ちでダンサーの背に仰向けに乗ってのけぞりながら歌うパフォーマンスも。Little Mixの「Woman Like Me」をカバーし、IVEではなかなか観ることができないステージにDIVEも大きな歓声をあげた。ユニットステージがはじまる前にはユジンとイソが、少し前にウォニョンがカバーして話題になった「さつまいもタイム」を実演してドームを爆笑の渦に巻き込むシーンもあり、コンサートの中でもメンバーの素顔が垣間見られるセクションとなった。
ブラックレザーにボルドーとレッドをポイント使いしたロックな衣装に着替えた後には、「Accendio」や「LOVE DIVE」で怒涛の勢いを見せ、「Kitsch」では東京ドームが「キッチュ」の大合唱に包まれた。今回のツアーはバンドの生演奏も特徴のひとつだったが、「NOT YOUR GIRL」ではワールドツアーで苦楽をともにしたバンドメンバーたちをIVEのメンバーが紹介。リズがレイのお腹をギターに見立てて弾く真似をしたり、ユジンはステージのセットにセクシーにもたれかかりながらバンドメンバーの名前を読み上げたり、バンドメンバーを紹介するだけでも大騒ぎ。ダンサー紹介では逆にダンサー陣が1枚ずつ紙を持ち寄り「IVE最終公演おめでとう」の文字を作ってIVEのメンバーたちを激励。そんな勢いのまま本編ラストの「해야(HEYA)」まで駆け抜け、東京ドームを圧倒するパフォーマンスを見せつけた。
アンコールではトロッコに乗って「WOW」と「Mine」を歌い、たっぷり2曲を使って広い東京ドームを1周! トロッコに乗ってスタンド席のDIVEに直接挨拶していくうちに感極まったガウルはこらえきれず涙……。アンコール3曲目はTVアニメ「ポケットモンスター」のオープニングテーマ曲に起用された「Will」。東京ドームで初披露となったが、ステージを自由に歩きながらハンドマイクで元気いっぱいに歌い上げる姿を見せた。
アンコールを待つ間、会場のDIVEがダンスをする姿がスクリーンに映し出されていたのだが、メンバーもステージ裏でその姿を観ていたよう。イソが「すごく上手ですよね」と褒め称えると、リズは「DIVEは一体誰に似たのか、ダンスも上手いし歌も上手いですよね」とにっこり。レイが「リズに似たのかな?」とすかさずツッコむと、「そのとおりです」とうれしそうに答えていた。
最後に、この日の感想を言っていくことに。リズは「オープニングの時から涙をこらえていました」と語りはじめ、公演がはじまる前に舞台監督からイヤモニで「1年間お疲れ様。今日の公演は楽しんでね」と言われたことを告白。そして「今日の公演は最後だから名残惜しさはあるけれど、思いっきり楽しんでDIVEのみなさんにいいエネルギーを伝えたいと思いました」と語った。「今日、DIVEの1人ひとりに挨拶しながら、みなさんのキラキラした眼差しが印象的でした。これからもずっと心に刻みます」と言いながら、ずっとこらえていた涙を流したリズ。最後には「これからもみなさんに会える日がたくさんあることを願っています。愛してるよ」とえくぼを見せて笑った。
LIZ
イソは話しはじめる前からしゃくりあげるほど泣いてしまい、会場のDIVEが温かい声援を送る。それでも日本語で「私たちの公演に来てくれて本当にありがとうございます」と語りはじめ、大変なことも楽しいこともたくさんあった初めてのワールドツアーを振り返った。そして「私はよく泣く子じゃないのに、11か月もやってきたワールドツアーの最後だから、とても悲しくなりました。せっかくDIVEが会いに来てくれたのに、泣いたらブサイクになっちゃう」といってメンバーから「かわいいから大丈夫」と励まされていた。最後は「また私たち日本に来ますので、ちょっとだけ待っていてくださいね」と笑顔で締めくくった。
LEESEO
ユジンは「今回のツアーは歌手として公演をすることがどういう意味を持つのかはっきりと知ることができました」ときっぱり。以前はできないことがあるのは自分のせいだと思っていたけれど、今回のツアーを通してたくさんの方に力を貸してもらっていることに気づき、「私たちの周りには本当にいい人たちがたくさんいると思いました」と感謝を口にした。そしてメンバーにはツアーを少しでもいいものにしたくて、あれこれ言ったこともあったけれど、そんな自分の言葉に感謝してくれて、いつも一緒にいてくれてありがとう、とも。最後には「私が大好きな人たちと、私たちを好きでいてくれる人たちと、私が好きな仕事をしていくならば、私は一生幸せだという確信が持てました」と真摯に語った。
YUJIN
ウォニョンは「私たちの最後の公演が東京ドームだなんて、今もまだ信じられないです」と語りつつ、「私は本気で幸せな人だと思いました」とにっこり。去年10月からはじまったワールドツアーが、最終公演日を迎えたこの日には9月になっていることにしみじみし、「私はいつも自分が好きな人たちと一緒にいる時に時間を早く感じます」とツアーを振り返った。「今日もこうやって私たちの大事な最後のステージを一緒に輝かせてくれるDIVEのみなさんに本当にありがたいなという言葉を伝えたいです」とDIVEへの感謝の言葉を口にして、「私はDIVEが、日本のDIVEが大好きです! いつもこのように私たちIVEを応援してください」とすべて日本語で挨拶した。最後には「私の永遠の味方になってください。約束! 私もみなさんの永遠の味方です」とDIVEたちと誓い合った。
WONYOUNG
ガウルはアンコールで泣いてしまったことを振り返りながら、「トロッコで1周しながらDIVEに挨拶していたら、みなさんの目がすごくキラキラしていて……」と再び涙。そしてツアーをしながら活動をすることで大変だった日々を振り返り、「私はこの夢を叶えることができてうれしいですし、みなさんにいい姿をお見せしたいと思ってはいますが、自分が思うようにできず足踏み状態にいるように感じて、私は努力してもダメな人間なんじゃないかなと思った」と涙ながらに告白。でもツアーでDIVEに出会って、ミスをしてもあるがままを愛してくれていることに気づけたと語り、DIVEへの感謝を口にした。そしてメンバーには「この1年ツアーを一緒にしてくれて、いい公演のために一緒に努力してくれて、いつもそばにいてくれてありがとう」、さらにはメンバーのご両親にも感謝し、最後には「お父さん、お母さん、愛してる」と締めくくった。
GAEUL
レイは言いたいことがたくさんあるからとあらかじめ書いてきた手紙を読みはじめた。子どもの頃、母に連れられて東京ドームの4階で公演を観た時、舞台で輝ける人になりたいと思った当時の自分に「夢が叶ったよ」と言ってあげたいと語ると、会場からは大きな拍手が湧き上がった。そして11か月ものワールドツアーの間、自分が少しでもさみしがらないようにと海外公演に同行してくれた母への感謝を語った。そして「これから私たちIVEは止まらず走り続けます。DIVEのみなさん、ついてくる準備はできてますか?」と問いかけると、再び大きな歓声が。ワールドツアーの間、苦楽を共にしたメンバーにもあらためて感謝を告げると、「私はみんなと一緒のグループになれたことが人生で一番の幸せです」とにっこり。DIVE、そしてワールドツアーを作り上げたスタッフへの感謝を口にするとともに、最後には「私の気持ちがほっぺに詰まってるんだけど」と言って頬に貼ったばんそうこうを指差し、「いつも会いたいよ♡」とレイらしい愛情表現でDIVEへの愛を示した。
REI
そして「最後だから」というガウルの言葉で、ステージ中央でみんな集まって「お疲れ様!」と言い合いながらビッグハグ。そんな尊い姿に会場のDIVEからは大きな拍手が贈られた。
この日の最後に歌われたのはIVE初の英語曲の「All Night」。ハートの紙吹雪が舞う中、ステージのあちこちを歩きながら手を振り、DIVEと目を合わせて挨拶。曲が終わり、いよいよワールドツアーも終わりかと思いきや、ユジンの「最後の日だけど、1回で満足ですか?」の声で再び曲がスタート。その後もリズが「言いたいことがある! もう1回!」と叫んだり、ウォニョンが腕に抱えたぬいぐるみに「もう1回!」と言わせたり、そのたびに再び曲がはじまり、元気よくステージを駆けるメンバーたち。最後の最後までDIVEを楽しませたい気持ちが詰まったIVEの初のワールドツアー『IVE THE 1ST WORLD TOUR ‘SHOW WHAT I HAVE’ IN JAPAN』はこうして幕を閉じた。
Photograph_田中聖太郎写真事務所 Text_Yunico Woo