音楽活動を始めてわずか1年にも関わらず、TikTokで爆発的な人気を集め2021年にメジャーデビューした岐阜出身の23歳・新世代男性アーティストのimase。活動歴2年半にして、数々の有名企業のCMソングやドラマ主題歌にも抜擢され、幅広い世代から注目を集めている。そして2024年春には初の全国ツアー「imase Tour 2024 “Shiki”」を開催。名古屋を皮切りに仙台、札幌、広島、福岡、大阪、東京を回り、地元・岐阜でファイナルを迎えた。今回は4月6日に東京 Zepp DiverCityで行われたセミファイナルの様子をレポート!
開演30分前。ツアーグッズのピンクやパープルのタオルを肩にかけ、開演を待ちわびるファンで会場は超満員。今回のライブはツアータイトルにもある通り「Shiki」=四季をテーマに構成されており、オープニングは「梅雨」からスタート。スクリーンに雨が映し出され、その奥にimaseのシルエットが浮かび上がるとファンの期待は最高潮に! 切ないピアノの音色と、優しい歌声が重なるエモーショナルな楽曲『Pale Rain』を披露した。
1曲目から会場をぐぐっとimaseワールドに引き込んだところで、季節は「夏」へ。サングラス&アロハシャツのCOOLなファッションで歌うのは、レトロでさわやかなニューダンスポップチューン『Nagisa』。「imase Tour 2024 “Shiki”へようこそ!」「踊ろうぜ東京!」と会場を沸かせる。2曲目にして会場のボルテージはMAXに達し、「ぶっとべるか東京、いくぞ! 1、2、3、JUMP!」の掛け声に合わせてみんなでジャンプ! 勢いはとどまることなく、3曲目の『ユートピア』へ。きらきらとした多幸感あふれるサウンドでファンを惹きつけながら「手、上げられますか東京!」「もっと高く上げられるよね、みんな。いいね!」と呼びかけ、会場との一体感がより強まっていく。ラストは「最後まで楽しんでいきましょう、よろしく!」と締めくくった。
MCタイムでは「はじめましての方、いますか?」の問いかけにファンが挙手。「たくさんいる!」と喜びあふれる表情になり、さらにライブ自体がはじめてというファンもいることを知り「初ライブに僕を選んでいただいて本当にうれしいです、ありがとうございます!」と感謝を述べた。「次も踊れる曲なので、皆さんついてこれますか?」という言葉から始まった『Shine Out』は、「アネッサ」のキャンペーンソングとして書き下ろされた楽曲。世界中の人が簡単に口ずさめるように、と考えられたフレーズ「Dance Dance Dance」に合わせて会場もノリノリに。「まだまだぶっとばすぜ東京! Are You ready?」と軽快なステップでステージを動き回り、ファンを魅了する。会場の熱気が最高潮になったところで、次の曲『でもね、たまには』では興奮を落ち着けるようにステージに腰掛け、リラックスした様子で歌い始める。ゆったりした口調で「皆さん歌えますか?」「もっと声が聞きたいな」とファンに呼びかけると、それにこたえるように大きく手をふり、会場は大合唱。ライブ序盤からファンの心をぐっとつかんで離さない。
ステージの季節は変わり「秋」。スクリーンに映し出された盆栽が徐々に紅葉し始め、満月がのぞくなかアコースティックギターの音色がやさしく響き渡り、『逃避行』へ。リラックス感のあるボーダーニットに着替え、ノスタルジックなムードで『I say bye』『アナログライフ』を歌い上げる。『I say bye』は活動初期、SNSにサビだけ投稿され、ファンの間でフル尺が待ち望む声が続出。「GLOBAL WORK」のCMソングに起用されたことでも話題になった。『アナログライフ』はテレビ東京のドラマ『チェイサーゲーム』のエンディングテーマで、心地いいチル要素のあるサウンドが魅力だ。
会場がゆったりとくつろいだ雰囲気になったところでMCタイムに。大阪のライブのときは最近ハマっている海外ドラマ『プリズン・ブレイク』の話をずっとしていたというimase。「今日はシーズン3から5までのあらすじでも話そうかな?」と冗談めかして話すと、バンドメンバーから「長い!(笑)」とツッコミが入り、ファンの笑い声が響く。まるでファミリーのような和気あいあいとした雰囲気だ。また、最近ジムに通い始め「ちょっとマッチョになりたいと思って」筋トレにはげんでいることを明かすと、会場から「ヒュー!」という歓声が。それにこたえるように、マッチョポーズを披露するお茶目な一面ものぞかせた。
そして、話題は5月15日にリリースが決まった初アルバム『凡才』に。「自分の名刺がわりになるのかなと思って」かなり気合いを入れて制作したそう。また、タイトルについても「キーボードも、ギターも、最初からうまく弾けたわけでもない自分が、どうやったらたくさんの方に曲を聴いてもらえるかな、と考えて“凡才なりの戦い”じゃないけど、自分なりに工夫した曲たちが詰まっています」「もうひとつ、海外でも人気のある“盆栽”にかけていて、国内外問わず聴いて欲しいという願いをこめました」と語った。さらに、盆栽が今回のツアーモチーフになっていることに触れ「盆栽というのは季節を表現する芸術でもあり、今回のライブも四季を感じられる演出になっています。自分も春夏秋冬で服装が変わっていきますので、最後まで楽しんで四季の移ろいを感じてもらえたらうれしいです!」と締めくくった。
MCからガラリと雰囲気が変わり、大人っぽいムードで始まった『ミッドナイトガール』。甘くほろ苦い歌詞をやさしいバラード調のメロディーにのせて歌い上げると、スクリーンは雪景色に。シャンシャンというベルの音とともにステージは「冬」に移り変わっていく。『Hole Light』では、グレーのセットアップにカラフルなマフラーを巻いた姿に歓声が上がるなか、クリスマスを彷彿とさせるホリデー感満載のキャッチ―なメロディーを歌い上げる。そして「以前、YouTubeライブのときに『これ持ってくるよ』と言ってたものを取ってくるから待ってて」といったん舞台袖に消え、再登場した手に掲げられているのは……YouTube登録者100万人達成の証である金の盾! 「めっちゃきれいだし、大きいよね。ぜひ目に焼き付けてくれ~!!」と会場を盛り上げたあと、コール&レスポンスをすることに。「金の盾!(会場:金の盾!)」「金の盾!(会場:金の盾!)」「金金金金金の盾!(会場:金金金金金の盾!)」とユニークなコール&レスポンスで会場を沸かせた。
続く『恋衣』は、「午後の紅茶」とのコラボレーション楽曲。キャンペーン参加者が詠んだ短歌のフレーズから着想を得て書き下ろされた冬ソングで、やさしい歌声と切なくも温かい歌詞が印象的。会場がうっとり聞き惚れる中、季節は「春」へと移り変わっていく。スクリーンに映し出される雑踏、所々に現れる桜。春の訪れにワクワクの止まらない会場に、「春来たり~!!」と小走りで登場。ピンクのカーディガンに白シャツ、ネクタイというスクールテイストのファッションに身を包み、軽快なステップで『18』を歌い始める。こちらは「サントリーホールディングス」が2023年新成人として春を迎える18歳世代=04世代に向けたキャンペーンの主題歌で、04世代への思いをこめて制作された楽曲。疾走感のあるメロディーとともに、未来に向かってやさしく背中を押してくれるような歌詞が印象的で、会場も明るくポジティブな空気に包まれる。その勢いのまま披露されたのは『僕らだ』。こちらは「ahamo」が成人の日に公開したWebCMのために書き下ろされたもので、新成人や迷える人をはげますような温かく前向きな楽曲になっている。曲が始まるとすぐ「Crap! Crap! Crap!」と会場を盛り上げ、サビ前では「まだまだいけるか、行くぞ東京!」の声に会場はさらに熱を帯びていく。
そしてファンお待ちかねの名曲『NIGHT DANCER』。TikTokの再生回数12億回以上、名だたる韓国アーティストたちがダンス動画を披露したことで瞬く間に世界中に広がった楽曲だ。冒頭からアカペラで「どうでもいいような 夜だけど」と歌い始めると、会場からは歓声が上がり、少し照れたような表情を浮かべる瞬間も。さらに、東京公演のスペシャルゲストとして『NIGHT DANCER』の振り付けを考案したダンスクリエイターHoodie famも登場。「踊ろうぜ東京!」という声とともに、会場はさらなる盛り上がりを見せる。
最後のMCタイムでは、今回のツアーについて「アルバムの制作があったり、いろいろ大変だったけど、こうして初めて会う方も、二度目の方も、それ以上の方も、一緒にこうしてライブができて……。本当に音楽を続けていてよかった、とあらためて思いました」と語る。そして「スタッフやファンの皆さん、いろんな方々の支えで音楽ができていると思います。そんな皆さんに、まずは今日一日が最高だったと思ってもらいたいし、明日も明後日も、毎日がいい日だなと思ってもらえるように、この曲を歌います」と『Have a nice day』を披露。自身のメジャーデビュー曲であり、コロナ禍に感じたことを歌った楽曲はリラックス感のあるメロディーが心地よく、imase独特の高音がのびやかに響いていた。
終了後、会場から途切れることのない「imase!」「imase!」のコール&手拍子。しばらく待つとツアーグッズのポロシャツに着替え、元気に走りながら再登場! アンコール曲として4月1日に配信リリースされたばかりの「マクドナルド」のタイアップソング『Happy Order?』を披露した。「アンコールありがとうございます! もう1曲、新曲をやりたいと思います。皆さん一緒に踊っていきましょう!」と、たたみかけるように「GU」とのタイアップソング『LIT』へ。一気に盛り上がる会場に「まだまだ飛べるよな、東京! いくぞ!!」と声をかけながら、パワフルにステージを動き回る。そして「次が最後の曲になります。タオルを持ってる人も、持ってない人も、サビで一緒に回して踊りましょう!」という言葉とともに始まった『ヒロイン』。軽やかなサウンドアレンジが印象的なロックナンバーで、会場が一つになりタオルを回す様子は圧巻の一言。「東京ありがとう! 最高だった、めちゃめちゃ楽しかった。次はホールツアーでお会いしましょう!」と再会を約束。会場のすみずみまで見渡し、手を振りながら去っていくimaseに、別れを惜しむようにずっと拍手を送り続けるファンの姿が印象的だった。
Photo by Viola Kam (V’z Twinkle)
Text_Mayumi Endo Composition_Noriko Hata