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HOME 「損して得をとれ」の精神が大切。恥をかくことで自由になれるのです。│住谷杏奈
2023/7/12 CULTURE

「損して得をとれ」の精神が大切。恥をかくことで自由になれるのです。│住谷杏奈

S Cawaii! 編集部

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住谷杏奈さん

取材・構成/岩淵美樹、撮影/楠本隆貴(WILL CREATIVE)、ヘアメイク/山口理沙(+nine)



今の自分に心の底から満足しているという人は、ここからスクロールする必要はありません。少しでもいいから変わりたい、もっと生きやすい人生にしたいと思っている方のみ読んでみてください!

実業家・住谷杏奈さんの生き方から学ぶ、不確かな時代をサバイブするためのヒントを紹介する連載。
>>>前回の記事:他人のことより自分のこと。人の目なんて気にしない!

人の目が気になって自分の気持ちを表に出すことができない人は、今すぐその“羞恥心”を捨て去ることが、今後成長するためには必須。では、その羞恥心を捨てるにはどうしたらいいのでしょうか。
今回は、住谷さんがビジネスを始め、手探りでもがいていた頃の処世術を語っていただきます。


わかったふりをせず、“知らない”を徹底すること

 私が人と人との会話の中で大事だなと思っていることは「知ったかぶりをしない」こと!だと断言できます。当たり前のことなのですが、会話の中で受け答えが残念だなぁと感じることが多々あります。
 男性女性問わず、わからない、知らないを言えない人って多いんですよね。物知りのほうが好感触だろうと思っているのか、知らないことが恥ずかしいことだと思っているのか……。特に知ったかぶりはとても恥ずかしいことで、自分にとって大きなマイナスになります。知らないことは知らないと言ったほうが得です。昔から「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」と言いますよね。「知らないので教えてください」と言うのは、その瞬間は恥ずかしいかもしれないけれど、聞かずにあいまいな知識のままでは一生恥をかくだけ。いらないプライドは捨てましょう。
 できる経営者ほど、謙虚に自分の無知を認められるし、自分を大きく見せようとせず、知ったかぶりをしないものです。知っていると思っていたことも、違う視点での解釈があるかもしれないし、なんとなくわかったつもりでいたこともあるかもしれない。できる人ほど自分の能力を過信せずに疑う目も持っているから、わかったふり、知ったかぶりをしないんですよね。

 私はビジネスを始めた当初、徹底していたことがありました。それは、人の話を聞くときは、仮に知っていることだったとしても 「それは知っています!」とは言わず、「へー、そうなんですね!(ふむふむ)」と言うように心掛けていました。この人は自分の話に興味を持ってくれていると感じたらどんどん教えたくなるし、可愛がってあげたくなるもの。
 さらにひとつ加えるならば、メモとペンを片手に「すみません、質問いいですか?」と探求心をアピールしたりもしていました。知らないことは悪いことではないし、むしろそこから自分が知らなかった新しい知識、経験が増えていくので楽しみに思っていました。知っていることだったとしてもいろんな角度からの視点もあるし、私の知識が間違っているかもしれない、「知っています!」と言う言葉で、学べる場を自分で殺してしまってはもったいないと感じていました。
「知らない」を徹底すれば、自然と周りから手を差しのべてくださったり、教えてくださったり、助けてくださったり、そんなことが多々ありました。

ちなみに……女だからとか、若いからなにも知らないだろうと上から目線で「君、これ知らないでしょ」と言ってくるような人は、無視して構いません(笑) 。

自分の失敗を笑いのネタに昇華する

 大半の人が「いい人だと思われたい」「変な人だと思われたくない」という気持ちが強いから、自分をよく見せようと飾ってしまうもの。特に初対面の相手には、いい人の仮面をかぶって接しがちです。
 自分は自分、誰になんと思われてもいい、嫌われたって平気くらいの精神がないと 唯一無二の一目置かれる存在になることはできません。何者かになりたい人は、バカにされないようにするのではなく、どんどんバカにしてもらってもいいという気持ちになって欲しいです。

 そのために私がよくやっていたのは、自分の失敗談を惜しげもなく人に話すこと。過去の失敗、恥ずかしい話を常に2~3個は用意していました。何年も前のことで、自分の中で吹っ切れていることとか、すべて真実でなくても多少盛って話したっていいんです。「住谷さん、初対面の私にそんなことまで話していいの!?」と相手が思うくらいの、適度にインパクトのある話をすると、相手は自分に心を開いてくれたと思ってくれるのです。例えば私自身の古い話で言うと、壮大な詐欺にあったこととか、とある会社にギャラを3000万円未払いにされたこととか、監禁されたこととか……(笑)。

 初対面ではつい相手の出方を見て聞き役になりがちだけれど、自ら口火を切ること。「これ、誰にも話してないんですけど……」と内緒話っぽさを強調しつつ 、多少過激な失敗談をフランクな感じで笑いを混じえて話すのが定番でした(笑)。
 内容が内容なので悲壮感あふれる話し方ではなく、軽いノリで「昔のことなんですけどね……今はそれを乗り越えて楽しくやっています」と話すと、こんなことを話してくれるなんて!!と、相手の方も心を開いてくれるようになっていましたね。
 失敗談を初対面の相手に話すことで羞恥心がなくなり、自分自身も開放されて人の目が気にならなくなっていきました。相手も「この人、話しやすいな」と思ってくれていたそうです。

 失敗したそのときは人には言いたくないくらい恥ずかしいけど、時間が経てば「恥ずかしい」気持ちは薄れていきます。そんな出来事をネタにできたら最強!! それを人に笑いながら話すことができたならもっと最強!! 聞いている方も他人の失敗談なんて世間話です。
 失敗して恥をかいた分だけ、小話のネタが増えたと思えばいいし、どんどん失敗して人生経験をして人間力を上げていきましょう!

二度と会わないつもりで接すれば、恥もなくなる

 自分でビジネスを始めたばかりの私は、初対面の方と接するときは、常にオーディションだと思うようにしていました。いかに相手にインパクトを残せるかが勝負でした。

 10代の売れないタレント時代はオーディション三昧だったので、いかに審査員にインパクトを残せるかが重要ということも知っていました。何百人、何千人の応募があるオーディションでは周りと同じような自己紹介をしていても、印象に残らないものです。みんなと同じような可愛らしい普通のアピールをしていたときのオーディションは、ほぼ不合格でした。
 もうこんな仕事辞めてしまおうと思うようになり、最後と決めていたオーディションでは、もうどうでもいいや!と吹っ切ってX JAPANのYOSHIKIさんのモノマネで髪の毛を振り乱しながらエアードラムを披露した事ことがあったんです。今思い出しても笑っちゃう光景です(笑)。でもそのオーディションで「君、おもしろいね!」って言われて合格し、それから立て続けに番組が決まるようになりました。

 芸能界に限らず、就職、転職活動でも同じだと思います。面接で隣の人と同じような志望動機、自己アピールをしても埋もれてしまうだけ。マニュアル通りに100点満点の受け答えをしても、百戦錬磨の面接官には刺さらないもの。きっと営業職も同じですよね。自社の商品を紹介するときに、どれだけインパクトを残せるかが大切だし、話を聞いてもらうためにいかに短時間で心を開いてもらえるかということもカギになるはずです。
 繰り返しになりますが、初対面で壁を作らないようにするには、やはり恥ずかしさ、羞恥心を捨てること。相手にどう思われるか気にし過ぎないことが大切です。といっても、人の目を気にしたり、いい人だと思われたいと邪念が出てきたりしてしまうものですよね。だから私は、いつも「この人とはもう二度と会わない」と思って接するようにしています。この先の関係を考えるから、嫌われたくないと当たり障りのないことを言ってしまいがちです。今日で最後!と思えば、恥も外聞も捨てられるはずです。


PROFILE
住谷杏奈(すみたに・あんな)
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1983年2月1日生まれ。2006年にお笑いタレント・レイザーラモンHGさんと結婚し、2008年に男児、2011年に女児を出産。夫のケガを機に商品開発をはじめ、実業家としての才能も開花。美容の知識を活かしたプロデュース商品で次々とヒットを生み出す。現在は、実業家、タレントとして活動。




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住谷杏奈