2月24・25日、SHINeeが約6年ぶりとなる東京ドーム公演『SHINee WORLD VI [PERFECT ILLUMINATION] JAPAN FINAL LIVE in TOKYO DOME』を開催した。昨年9月にスタートしたアリーナツアー『SHINee WORLD VI [PERFECT ILLUMINATION]』のフィナーレという位置づけながら、セットリストも演出も大幅に変えた“ドーム仕様”の全く新しいライブ。全28曲、3時間15分にわたった24日のライブの模様をお届けする。
18時、スクリーンに踊る5つの人型シルエットが映し出され、会場は“SHINeeカラー”のパールアクアグリーン色のペンライトが瞬いた。メインステージにスモークがたかれると、「SHINee is Back! SHINee is Back!」と『Clue』のシグネチャーサウンドが、会場いっぱいに響き渡った。オープニングからアリーナツアーとは違う選曲に脳天を撃ち抜かれた気分でいると、割れんばかりの歓声の中、3人がメインステージに現れた。金色の刺繍が施された白地のスーツが初の東京ドーム公演を彷彿とさせる。3人は、『Sherlock(JPN VER.)』で一気にSHINeeの世界に引き込むと、『Picasso』、『Stranger』と、久しぶりに披露する曲を畳みかけていく。続く『君のせいで』では、スケルトンのムービングステージに乗り、センターステージまで移動。『Get The Treasure』では、観客のペンライトが虹色に光り、ライブの熱気を上げていく。ここでスタンドマイクが登場し、『Dream Girl(JPN VER.)』へ。曲が終わった瞬間、SHINeeの帰還を華々しく告げる金色の花火が勢いよく上がった。
撮影:田中聖太郎
撮影:石井亜希(田中聖太郎写真事務所)
撮影:金谷龍之介(田中聖太郎写真事務所)
ここで最初のトークに。激しいダンス曲を6曲休みなく続けたにもかかわらず、全く息が上がっていないのは、さすがベテラン。「オーライ、オーライ」とKEYが観客のテンションをあげると、MINHOは「東京ドーム!」と叫んで、喜びを爆発させる。TAEMINは「6年ぶりにこのステージに立ててうれしいです。昼にリハーサルをしましたが、お客さんが入ると全然(雰囲気が)違いますね」としみじみ。「今日は、初のドーム公演の時と気持ちが似ています」と話したのはKEY。「不安もあるし、リハーサルも真面目にやったし(笑)。今日一日、本気で最後まで頑張ります。皆さんの想像以上のものを準備しました。昔のSHINeeを思い出す曲も準備したので、楽しみにしてください」と期待をあおった。
『Good Evening』が終わると、3人は一旦ステージ裏へ。ダンサーたちがダンスパフォーマンスで会場をクラブ化させると、ヒップホップファッションに身を包んだ3人が再登場した。ここからは、さらに強度を上げたアグレッシブな曲が並ぶ、イケイケなセクションだ。『HARD』ではTAEMINのおへそがスクリーンに映り、観客から悲鳴にも近い歓声が。ラテンナンバー『Body Rhythm』でKEYがセクシーさを爆発させる。MINHOに至っては『JUICE』でジャケットを脱ぎ、逞しい上腕をあらわに。服の上からも大きさがわかる胸筋から色気がむんむんと立ち込める。かと思えば、曲の最後には、ポパイのように力こぶをアピール。MINHOの“漢”から“キュート”への急変身に完全にノックアウトされる。
撮影:石井亜希(田中聖太郎写真事務所)
互いの近況報告を挟み、続くは『Everybody』。KEYの「みなさん、『Everybody』を聴く準備はできていますか?」という声で、曲がスタート。3人はもう一段階ギアを上げて、全身を使って踊りまくる。18年のドーム公演以来の披露となる『Lucifer』で、会場の盛り上がりは最高潮に達した。ムービングステージでスタンド席近くのバックステージまで移動しトロッコに乗り込むと、『Downtown Baby』『LUCKY STAR』を歌いながらアリーナの外周を回り、スタンド席の観客に挨拶。3人もリラックスした様子で心から楽しんでいるのがわかる。観客たちも、「Hey~HO~」と合唱しながら一つになっていく。
5つの人型シルエットが躍るアニメーションVCRが流れ、ライブは次のセクションへ。ステージに現れたKEYは、美しいハーフアップ姿に変身! KEYのアップがスクリーンに映し出された瞬間、会場には発狂にも似た黄色い声が響いていた。ここからは、ロマンチックな雰囲気を楽しむ時間。3人はハンドマイク片手に、ミディアム調にアレンジされた『Replay(JPN VER.)』などスイートなナンバーをしっとりと歌い上げていく。出会いのときめきをロマンチックに歌う『Your Number』では、KEYが最後の決めセリフである「Can I get your Number?」を甘く囁く。観客は大いに満足したのだが、次のトークタイムでは、このフレーズを巡り、TAEMINとKEYの小競り合いが勃発!(笑) まず仕掛けたのはTAEMIN。「リハーサルの時、“頑張る”って言っていたからけっこう期待していたんだけど……。最後のセリフ、よく聞こえなかったよ。ちょっともったいなかったな」とダメだしする怖いもの知らずな“最強末っ子”。KEYも「自分がやりたいから言っちゃってるの!? TAEMINくん天才だねぇ。TAEMINの演技に期待してるよ」と負けてはいない。KEYに促され“お手本”を見せることになるも、照れが勝ってしまいグダグダになるTAEMIN。それに物申すKEY、言い訳をするTAEMIN……。最後は、業を煮やしたMINHOが、「ダメ~」と叫んで小競り合いが終了した。普段の3人の関係性が垣間見えるようなやり取りに、会場は爆笑の嵐。このわちゃわちゃ感が何とも言えない魅力。
純愛バラードの『Keeping Love Again』、『Fire』を歌い上げると、続くはSHINeeとSHAWOL(シャオル:ファンの呼称)にとって特に大切な一曲『Diamond Sky』へ。大きな会場にペンライトの白銀の光が瞬く光景は、圧巻の一言。その満天の星の中、手指でダイヤモンドの形を作り、空高く腕を伸ばす観客たち。SHINeeとSHAWOLの思いはきっと空のかなたへ届いただろう。
本編のラストソングは『LOVE』。お互いの顔を見つめ合いながら、大事に歌を紡いでいく3人。KEYはマイクを観客席に向け、その声にじっと耳を傾ける。初めての東京ドーム、初めて『LOVE』を披露した京セラドーム……。たくさんの思い出が走馬灯のようによみがえってくる。歌い終わったMINHOの目には、涙がにじんでいた。
会場に『君がいる世界』のMRが流れると、SHAWOLたちが歌い出す。会場が一体になると3人が再登場。アンコールステージの始まりだ。アンコールセクション一曲目は、初めてライブのセットリストに入るという『Super Star』。3人はトロッコに乗り込み、アリーナの外周を回りながら、フリスビーをスタンドに投げ入れていく。一人でぐるぐると回りながら全方位の観客たちに手を振りまくるKEY。MINHOとTAEMINはどちらが遠くまでフリスビーを飛ばせるか対決して楽しんでいた(ちなみに、二人ともスタンド上席までよく飛んでいた)。ステージに戻ってきTAEMINは、「皆さんが(『君がいる世界』)を歌ってくれることを知らなかったです」と感動モード。しかし、実は情報共有されていたようで、KEYは「え? 僕は知っていたけど」と冷静に告げる。「聞いたけど、忘れたのかもね」と言ってテヘっと笑うTAEMIN。そんなTAEMINに気を遣ったのか(はたまた本当なのか)MINHOも「僕も本当に忘れちゃった。歌ってくれてうれしい~」と無邪気な笑顔を見せた。3人の可愛さはここからさらに加速。ムービングステージでメインステージからサブステージまで移動する間には、MINHOが『LOVE』で涙した理由を真面目に語ろうとするも、その横でTAEMINはスタンドの観客に手を振ったり、観客と一緒にぐるんぐるんと手を回してペンライトの光で遊んだりと、全く聞いてない様子。「あいつ聞いてないじゃん!」と突っ込むMINHO。だが、TAEMINにはその声すら聞こえておらず(笑)。結局、「これおもしろいよ~」と誘ってきたTAEMINにつられ、MINHOも観客とペンライトで遊びはじめ、ミイラ取りがミイラに。そんな二人をあきれ顔で見つめるKEY。平和な空間がそこにはあった。
ライブは2曲を残すまでに。『Colors Of The Season』では、リフターに乗り、スタンド上階の観客の近くへ。TAEMINが透明感のある高音を響かせる中、KEYの目には大粒の涙が光った。ここまでずっとユーモラスなトークで観客を笑わせてきたKEY。緊張の糸がほぐれたように泣きじゃくる姿を会場のSHAWOLたちが温かく見守った。
ライブのトリを飾るのは、『1000年、ずっとそばにいて』。「千年掛かったとして ずっと僕のそばにいて」と歌う3人に、観客からサプライズプレゼントが。色付プラカードを持って、コレオグラフィを作ったのだ。スタンド席に黄色く浮かび上がった文字は、「SHINEE IS BACK」の文字。これには言葉が出ないといった表情の3人は、その光景を目に焼き付けるように、会場の隅から隅をゆっくりと見渡していた。
撮影:石井亜希(田中聖太郎写真事務所)
撮影:田中聖太郎
撮影:金谷龍之介(田中聖太郎写真事務所)
そしてライブはエンディングトークの時間に。KEYにコメントを促されるTAEMIN。だが、感極まってなかなか言葉が出ない。スクリーン側を向き、涙を見せないようにするTAEMINに、観客から「イ・テミン! イ・テミン!」の大声援。MINHOもTAEMINの背中を優しくさする。
TAEMIN
「正直に言うと……。東京ドームの舞台に立つことが実感できませんでした。だけど、こうしてお客さんの前に立って、皆さんが僕たちSHINeeに送ってくれるエネルギーをもらって……(感極まってつまる)。 そのエネルギーはちゃんと伝わってきました。本当にこうしてずっとSHINeeのそばでSHINeeを守ってくれて、本当に感謝しています。「1000年、ずっとそばにいて」の歌詞のように、皆さんがずっとSHINeeのことを守ってくれる気がして、皆さんの愛をもらって胸がいっぱいになりました。こうして僕たちSHINeeがドームという大きな場所に立つことができるのは皆さんのおかげです。本当に、ホントのホントに、またONEWさんと一緒にSHINee4人でこのステージに立ちたいです。その時を待っていてくれますよね? 言葉にできないくらい感謝をしていますし、これからももっと成長するSHINeeになります。皆さんのおかげでSHINeeはずっと生きると思います」
MINHO
「皆さん、今日は本当にありがとうございました。実は本当にすごく心配でした。久しぶりの曲もあったので心配でしたが、皆さんの目を見たら心配が消えました。本当にありがとうございます。一つお願いがあります。今日の公演、SHINeeを絶対覚えていてください。いつも、いつも皆さんが僕の希望です。またね。みなさん!」
KEY
「いつも最後のコメントは難しいですね。本当に感謝していますし、本当に時間が早く過ぎて僕もびっくりしました。僕も本当に楽しかったです。ツアーを回りながら、“皆さんに恩返しできるようにもっと頑張って、もっといい場所で、もっといいライブを見せることができるSHINeeになります”と言ってきましたが、ドームは時間がかかりました。だけど、もう行く軍隊もないです。全部卒業だから。バカみたいなコロナも終わり。ですから、こういう機会がこれからもっと増えたらうれしいです。今日はいいですね。昔のことを思い出すことができて。SHINeeはこれまでいろんなことがありました。16年目を迎えて、今日、こうやって過去を振り返って、ヒストリーを見ることができました。皆さんも楽しかったですか? (「はーい」という声に)ありがとうございます。もっと頑張っていきます。今日はありがとうございました!」
撮影:田中聖太郎
そうそれぞれ思いを語ると、最後は、たっぷりと時間をかけて、観客たちに手を振り、お見送り。3人でメインステージの最左端から最右端まで歩き、スタンド席の最上列の人たちにまで「ありがとう」を伝えていく。メインステージに戻ってきたMINHOは、「東京ドーム、最高!」と絶叫し、この日一番のまぶしい笑顔を見せた。ステージ裏への帰り道には、TAEMINが「また会いましょう!」と絶叫。「約束だ~よ~」と『To Your Heart』の1フレーズを歌うと、KEYが「そういえば、それ歌わなかったね」とつぶやく。「今、歌ったよ」と言って“良いねポーズ”をするTAEMINがかわいらしい。
ライブ開始前のVCRや舞台転換に流れたのは、5人で歌う元音源。セットリストの中心は5人で歌ってきた楽曲で、VCRに描かれたのは5人のシルエット。目の前にはいなくても、ライブの間ずっと、SHINeeは5人だった。SHINeeにとっても、SHAWOLにとっても、特別な場所である東京ドーム。その場所で再確認したSHINeeとSHAWOLの絆は、これからもずっと続いていくだろう。
■SHINee Information
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アイキャッチ画像撮影:石井亜希(田中聖太郎写真事務所)
Text_Mieko Sakai Composition_Noriko Hata