こんにちは。「ミオヤマザキ」というロックバンドのボーカルをしていますmioです。
前回は“依存と愛”についてお話ししました。
今回は、裏垢の存在意義について考えてみました。
裏垢ってなんのためにやってるの?
裏垢とは、SNSの裏アカウントのことで、表アカとは別の閉鎖的なアカウントのことです。
なにはともあれ、ミオヤマザキの「裏アカ」という曲を聴いてみてください。一気に理解が深まると思います。
「裏アカ」/ミオヤマザキ
裏垢にもいろんな種類がありますね。
・本当に仲のいい友達だけの限定的なアカウント
・趣味などでのみ繋がり、リアルでは繋がらないゆえに自由な発言をするための裏垢
・自分の顔を隠して自分の露出した体を投稿する裏垢(いわゆる #裏垢女子 など)
愚痴を言う場所でもあり、ストレス発散の場所でもあり、承認欲求を満たす安定剤的な役割を果たすことがあります。
LINEでの直接のやりとりをするまでもない他愛もないこと、またはリアルではとても呟けない様なエロい内容を裏垢につぶやく。見ている側からすれば、「いいね」だけで済ませられるし、呟く本人は承認されてうれしい。手軽に気持ちが満たされるわけです。
まさに、裏垢は置き場所のない感情の一つの逃げ道だと言えます。
悲劇のヒロインになりたい時もある。
「今思えば最低だったのにあの時は彼しか見えなくて、あんなに貢いだお金も何時間も待って無駄にした時間もまぢ返して欲しいわ。他の女とすでによろしくやってること考えるとまぢ死んで欲しい。」
こんなツイートをたまに見かけませんか?
「その男最低だね。」って同調してくれる人がいるとすごくうれしいですよね。関係ない人が覗き見したら痛いツィートだってのはわかりますが、本人にとってはとても大事な作業なわけです。
それから、恋愛の名言のリツィートもよく見ます。
“夜の人”の名言がバズっていて、それを裏垢でリツィートする。リツィートは代弁の側面もありますから、リツィートするということ自体が一つの発散です。
でも夜の人系の名言は過激だったりトゲトゲしてるものも多いですから、表垢でのリツィートはちょっと明日以降のみんなの目が怖い、、だから裏垢でリツィートするんです。
私も元キャバ嬢なので、“夜の人”に名言が多い理由がわかる気がします。
一部のお客さんには、高いお金を払っていて、お酒を飲む場所ということで、どんなことでも言っていいと思っている人がいるのです。だから、その人間の本性とか、汚いところが見えてくる。それでも仕事なのでお客さんに気に入られないといけないし、たくさん話さないといけない。だから語彙力のセンスやスキルが磨かれていくんです。
そういった夜の経験から生まれてくるセンスのいい男性へのマウンティングワードには、自分のモヤモヤの中身を気づかせてくれ、浄化してくれるのですごく気持ちがいいわけです。
悲劇のヒロインとして過去とうまく折り合いをつけたり、欲望丸出しの男性へのマウントをセンスよくとったりする。そうやって裏垢、表垢をうまく使いこなしてこのしんどい世の中を自分なりに渡り歩いていこうとする。
そう考えると裏垢とは一種の処世術なのかもしれません。
裏垢で「死にたい」と呟く意味
メンヘラ発言のNO1はたぶん「死にたい」です。
私もよく使います。
死んでしまったらこの苦しみから解放されるのだろうか、そして私が死んだらみんな私のために泣いてくれるだろうか、そんな出口のない苦しみを自分の内側に留めておけなくなった時にふと「死にたい」と発してしまうことがあります。
それを受け止めてくれる人がリアルにいる場合もあれば、顔を見たこともない誰かの場合もある。どちらであれ、誰かの「死んでほしくない」というリアクションに救われる気持ちになるのは事実です。
学校では大人ぶり、親の前ではいい子でいる、バイト先ではバリバリ仕事をこなし、ネット上では甘えん坊、そんな風に居場所によってキャラが違う人も多いのではないでしょうか?
いつしか居場所ごとに求められているキャラを演じてしまう。
そうやってどこかで生まれた辛い気持ちを、別のどこかで慰めてもらって何が悪いのでしょうか?学校での辛い出来事を趣味垢で呟いて辛い思いを浄化してもいいんです。
だって、表垢も裏垢も、どれも本当の自分を切り取った一部であり、すべて本物の自分です。
つまり、裏垢という名前がついていますが、すべてが表垢だと私は思うわけです。
匿名で絶対に安全な場所から醜くて汚い言葉を投げつけ、たくさんの人を無責任に傷つけているような一部のイモ野郎は論外として、これだけ人間関係の摩擦が増えてしまった現代では、むしろ裏垢を持って、リアルで生まれた“病み”をネットで浄化したり、逆にネットで生まれた“病み”をリアルで浄化したり、そうやってバランスをとるのも、それが明日もどうにか生き延びる理由になるのなら私はありだと思っています。
誰だって秘密はあるもの。だから生きにくい世の中を不器用にでも泳いで行ければ良いなと思っています。不器用にでも泳ごうとする人。そういう人のために私はまだまだ歌を歌い続けます。
ちょっと最後真面目になりすぎましたが、次回はネットストーカーについてお話しします。
— ミオヤマザキ プロフィール —
mio(Vo.)、taka(G.)、Shunkichi(B.)、Hang-Chang(Dr.)の4人組ロックバンド。
mioによる”男性は心拍数が上がり、女性は皆共感する”恋愛の陰を描いた歌詞と、圧倒的なライブパフォーマンスにより「ミオラー」と呼ばれる熱狂的なファンを獲得。
500万DLを突破したゲームアプリ「マヂヤミ彼女」はApp Storeで1位に。さらに、TVドラマ「SHIBUYA零丁目」やTVアニメ「地獄少女~宵伽~」などに楽曲が起用され、10代~20代の女性を中心に支持を広げている。
2017年には日比谷野外大音楽堂でのワンマンを行い、O-EAST、ZeppTokyoなどの大規模ライブハウスを含む全国ツアーでは全公演ソールドアウトを記録。2018年にはパシフィコ横浜での公演を大成功に収め、2019年には日比谷野外大音楽堂・大阪城野外音楽堂2DAYSワンマンを行い、2020年1月11日に横浜アリーナでの単独公演が決定している。
ミオヤマザキ Twitter
https://twitter.com/mio_yamazaki
ミオヤマザキオフィシャルサイト
http://www.mioyamazaki.jp/
— ミオヤマザキライブ情報 —
■Zeppツアー2019
2019/11/9 Zepp DiverCity
2019/11/23 Zepp Osaka Bayside
2019/11/24 Zepp Nagoya
2019/12/1 Zepp Fukuoka
■2020/1/11 横浜アリーナ単独公演
「私を愛してくれないなら死んで」