「いつか好きなことを仕事にしたい！」。でも、その“いつか”はいつになるか想像できてる？ そこで今回は、今好きを叶えている人たちに、どうやって最初の一歩を踏み出したかを教えてもらいました！ さあ、まずはそれぞれのスタートラインから飛び出そう♪
前職・ぼくりりのインターネットタレント
たなかさん
2012年、センセーショナルなデビューから注目を集め、哲学的な歌詞の楽曲に「天才」と評されたたなかさん。2019年にぼくのりりっくのぼうよみを辞職する際、ファンに向けて「黙れよ説教ババア」と発言したり、YouTuberデビューをして1日でやめるなど、その破天荒な言動にも注目が集まりました。かと思えば、今度はボルダリングをしまくっている！？ 前代未聞の転身を続けるたなかさんに、前職と現職について聞きました！
すべてを手放したとしても人って幸せに生きられるんです
ぬるっと始まった音楽の道と“ぼくりり”
“ぼくりり”として音楽を始めたのは高校生のころ。ずっとニコニコ動画に入り浸ってたんですけど、友だちのラッパーに「やってみたら？」って言われたのをきっかけに始めました。楽器もコードも知らないし、ネットのフリー素材のトラックを使って見よう見まねで作ってましたね。一念発起ってわけではなく、どちらかというとぬるっと。音楽はずっと好きだったし、ニコニコ動画に友だちもたくさんいて、音楽をするのが当たり前な環境だったので始めやすかったんだと思います。
でも、その“ぬるっと感”こそが“ぼくりり”の失敗でした。めざすものが明確にないのに、なんとなくある“ぼくりり”像にしばられて自由に動けなくて、それがとても苦しかった。目標なくフラフラしている感じがしんどくて、結局3年ほどたったころに、“ぼくりり”を辞職しました。ちゃんと素直に生きるための一歩を踏み出した感じです。
大人になってからハマりまくったボルダリング
そこからは好きなことをしようと、ヨーヨーとか盆栽とか、とにかくいろいろ試してみました。ボルダリングもそのうちのひとつだったんですけど、めちゃくちゃハマって。好きなことってガチャ回しまくらないと見つけられないと思っていて、“ぼくりり”をやめて1週間くらいでたまたま当たったのですごくラッキーでした。週4〜5回、長くて1日5時間くらい壁を登ってます。適切なムーブを見つけられるとすごく楽しいし、自分の体が宙に浮いて勢いよく移動していくのがそもそもおもしろい。大人になってからこんなに好きになれるものに出会えて、仕事にもつながって、すごくうれしいことですよね。
全部なくしても幸せに生きるサンプルとして
この1年は「たなかです」という名前を名乗って、インターネットタレントとして活動してます。活動は主にネット上で、シンプルにやりたいことをやるっていう。“ぼくりり”として積み重ねてきたキャリアを全部捨てて、ボルダリングなど好きなことをして毎日楽しく生きて。希望を与えるって言い方はおこがましいですけど、そういうサンプルとして世に存在することに意味があるのかなと今は思っています。
どれだけ辛くても悲しくても、持っているものをすべて手放したとしても、それでも人は幸福でいられるよって。幸福の定義は、過去に依存しないんです。大学受験に落ちたからって、就活がうまくいかないからって、自分はダメだって思う人もいるけど全然そんなことはないし。ただ僕が楽しく過ごして、それをツイッターに載せたりしてぼんやり生きていることに意味があるんじゃないかな。そういうサンプルとして存在することが、ぼくりり時代になかった今の目的になっています。
たなか’s Q&A
Q.好きを叶えるための第一歩の踏み出し方は？
「挑戦しやすい環境に身を置くこと。高校時代1日だけバスケ部に入ってたんですけど、あのままバスケ部にいたら音楽を始めることへの心理的ハードルがすごく高かったと思います。僕がすっと挑戦できたのは、ニコ動にいたおかげ」
Q.幼少期どんな子だった？
「同じ空間にいる全員に、すごく気を使う子どもでした。今もそういう節はあるけど、このクセを自覚してからは意識的に自分を解放しようとしています」
（前職・ぼくのりりっくのぼうよみ）
PROFILE
たなか。2012年からぼくのりりっくのぼうよみとして活動し、2019年1月に辞職。現在は趣味のボルダリングを楽しみながら、インターネットタレントとして活動中。
